【助産師執筆】妊活には身体活動(運動)が有効って本当?

「いつかは赤ちゃんが欲しい。」多くの方が一度は思ったことがあるのではないでしょうか。

最近では「◯◯活」というワードがブームとなり、「妊活」も聞きなれた言葉となってきました。それに加えて、不妊治療も一般的に耳にするようになり、自分は妊娠しやすい体質なのかなと不安に感じる方もいるでしょう。

そこで今回は、妊娠しやすい身体づくりに焦点を当ててご紹介します。

まず、はじめに、妊娠のメカニズムについてお伝えします。

精子が膣内に進入(射精)することで、排卵された卵子と精子が出会い、受精が起こります。この受精卵が子宮に到達し、子宮内膜にくっつく(着床:ちゃくしょう)ことで妊娠が成立します。卵子が排卵する頻度は一般的に月に1回であり、排卵された卵子の生存時間は24時間と妊娠可能なタイミングは多くはないことが分かります。それに加えて、タイミングよく射精が行われたとしても受精する確率はわずか30%と言われており、妊娠することを「子どもを授かる」と表現した昔の人の表現力にも納得ですね。  また、排卵は女性の身体の中で行われるため、排卵時期が分かりにくいのも特徴です。排卵日は生理開始7日目~14日目の間と幅広いのが特徴であり、また個人によってや毎回の生理周期によって異なることも少なくありません。排卵日の推定は、月経周期の計算や基礎体温の変化、膣の分泌物の変化、あるいはホルモン量により排卵を測定する器具等がありますが、分かりにくいことも少なくありません。加えて、妊娠しやすい時期は排卵日までの5日間と言われており、特に確率が高いとされているのは排卵2日前です。タイムリミットがあることや排卵は目に見えにくいことから、妊娠力を高めるには卵子と精子が出会う「機会」を増やすことが大切と言えます。

皆さん、パートナーと性行為を経験する頻度はどのくらいでしょうか。

世界的にみても、日本は、ずば抜けて性行為回数が少ない国ということが分かっています。性行為の頻度と妊娠する確率を調査したある研究では、毎日機会があることで37%、1日ごとの機会で33%、週に1回の機会で15%であったことが分かっています。

ただし、妊娠は一人では成立しないことなので、女性の方も男性の方もパートナーへの感謝と労いを忘れないようにしましょう。  また、妊娠の「機会」があっても妊娠できる「環境」がなければ、成立・維持ができません。皆さんが温かくてふわふわなベッドが好きなように、赤ちゃんもこのような環境を好みます。

このような環境を作るには、運動や身体づくりも一つの大切なポイントです。

身体を動かすことによって、筋肉が収縮、弛緩を繰り返しポンプ作用がうまれます。このポンプ作用によって血液の流れが良くなり、全身に新鮮な酸素と栄養を運ぶことができます。血液が全身をめぐることで、酸素を細胞に届けやすくなり細胞も元気になります。また、血液の流れに加えて筋肉の動きにより熱が生まれ、冷え性の予防・改善にも効果的です。このように、身体の環境が改善することで赤ちゃんも喜ぶ温かくてふわふわなベッドを作り、妊娠を維持しやすくなると言えます。加えて、適度な運動は、ホルモンの分泌や作用に影響をおよぼすストレスの解消や睡眠の質の改善にも役立つため、妊活に必要なことと言えます。

妊活には、このように「機会」と「環境」を準備することが必要ですが、もともと生理不順であったり、生理の出血量が大幅に多すぎたり少なすぎたり、痛みや不快感を伴ったりと不調を感じている人は、器質的な病気が隠れている可能性があるため婦人科に相談しましょう。また、避妊をせずに1年間の性行為があるにも関わらず妊娠しない状態を『不妊』と定義しています。この原因は、約半数が男性にあると言われているので、パートナーとの子どもが欲しいこと、いつまでに授かることを望んでいるのかなどを含め、お互いに話し合いを行い、専門機関に相談することをおすすめします。

〈まとめ〉

・妊娠力を高めるには卵子と精子が出会う「機会」を増やすことが大切です。

・身体を動かすことは、冷え性の予防や改善につながったり、ホルモンに影響をおよぼすストレスの解消や睡眠の質の改善にも役立ったりするため、妊活や妊娠維持に効果的と言えます。

・身体について不調を感じていたり、妊娠について悩んでいたりする場合は、早めに婦人科に相談しましょう。

MamaWellのパーソナル助産師が、あなたを、あなたに合った方法でしっかりサポートします。ぜひご相談ください。

お申し込み・お問い合わせはこちら⇩

申し込み・お問合せ

弊社に興味をお持ちいただきありがとうございます。お問い合わせいただきました内容は、弊社の掲げる個人情報保護方針に沿って管理し、お客様の同意なく第三者に開示・提…

〈参考文献〉

Wilcox AJ, et al. Timing of sexual intercourse in relation to ovulation. Effects on the probability of conception, survival of the pregnancy, and sex of the baby. New England Journal of Medicine 1995; 333:1517-21.